管理職になって部下を持つようになると、誰もが一度は悩むこと。
それは「部下のやる気がない」ということではないでしょうか。
私も部下指導では相当苦労しましたが、その現場での苦労の中から、うまくいく部下指導のコツを見てけてきました。
そこで今回、やる気がない部下のやる気を引き出すコツや、部下のやる気がなくなる原因などを紹介します。
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やる気のない部下の「やる気を引き出す」7つのコツ
部下のやる気を引き出すコツとして、私がこれまで実践してきた7つのコツを紹介します。
どれも効果のあったものなので、おススメです。
相手の利益に訴えかける話をする
人は自分が得すること、損することには敏感に反応します。
逆に、自分の損得に関係がないことは、あまり興味を持ってくれません。
そこで、部下にやる気を持ってもらうには、指示する仕事がいかに部下の利益になるかを意識して話をします。
上司のよくある勘違い
ここで上司がよくやってしまいがちな勘違いがあります。
それは、上司が「部下の利益になる」と思っていることと、部下が「自分の利益になる」と思っていることが違う場合がある、ということです。
たとえば、上司にとっては「資格を取って将来、専門性の高い仕事ができるようになる」ということが利益だったとしも、部下にとってはめんどくさい業務でしかない場合があります。
このような勘違いを無くすために、マズローの欲求5段階説を活用します。
(マズローはアメリカの心理学者です)
◆生理的欲求:食べたい、寝たい
◆安全欲求:安全に暮らしたい(雨風をしのぐ家や健康など)
◆社会的欲求:チームに属したい
◆承認欲求:他人から認められたい
◆自己実現欲求:自分の能力をさらに高め、自分の能力を発揮したい
欲求には5段階あり、下位の欲求が満たされて初めて、次の上位の欲求が生じる。
たとえば、安全欲求が満たされない限り、社会的欲求は生じてこない。
このマズローの欲求5段階説を活用すれば、部下と上司の考えている利益(≒欲求)が違う、といったことを軽減できます。
会社で昇進し、承認欲求まで満たされている上司は、自己実現欲求が生じているため、「資格を取って専門性の高い仕事をする」とうことが、利益に見えます。
しかし、まだ給料の少ない部下は、「安定した収入、生活を得たい」という安全欲求の段階にいるのかもしれません。
部下にとっては、この安全欲求を満たさない限り、資格を取って・・・、という自己実現欲求は感じることができません。
ここに上司と部下のすれ違いが生じます。
上司はこのすれ違いの原因を理解し、安全欲求が満たされていない部下には、部下の欲求を満たす次のような訴えかけをしましょう。
〇 「資格を取ると、安定した給与を確保できるようになるよ」=安全欲求を満たせる
× 「資格を取ると、専門性の高い仕事ができるようになるよ」=自己実現欲求を満たせる
個人のテーマを与えること
やる気のない部下に限って、言われたことしかしない場合があります。
こういう部下には、適切な個人目標を持たせてあげましょう。
会社としての目標やノルマはもちろんありますが、それとは別に、これならできる!というその部下に合った目標を、部下の利益になるように与えてやることです。
何も目標を持っていない部下ほど危険なことはありません。
目標を持たせ、その目標に向かって努力させ、褒めて伸ばすことが大切です。
部下の努力や成果を「見える化」する
どんな部下でも、自分が頑張ったことを褒められてうれしくない部下はいません。
言葉だけで褒めたり、二人っきりの時に褒めても良いのですが、もっと褒めてあげるために成果を見える化をしましょう。
「見える化」とは、見えない情報を壁に掲示したりして、見えるようにすることです。
部下がどれだけ努力したのか、それだけ成果を残したのか、職場の人たちから自然に見えるように張り出したりすることも効果的です。
私の会社では、営業の契約軒数だけでなく、訪問した軒数や契約に至らなかった提案件数も貼り出し、努力を誉めています。
褒められて、やる気になることはあっても、やる気をなくすことはありません。
顔を見て自分から挨拶する
あなたは挨拶をするとき、部下の顔を見ていますか。
挨拶の時に部下の顔を見るか見ないか、ちょっとした違いですが、部下に与える印象は大きな差を生みます。
というのも、人間は苦手な人ほど見たくないと思い、逆に、好きな人ほど見ようとします。
この誰でも理解できる行動が、挨拶によって部下に伝わってしまいます。
上司から好かれ期待されていると感じている部下、上司から嫌われ避けられていると感じている部下、部下にとって、どちらがやる気になるかは簡単ですね。
相手の話をじっくり、しっかり聞いてあげる
自分の話を聞いてくれる上司ほど、部下は指示に従うものです。
いかに部下をやる気にさせるかは、いかに部下の話を聞くかによります。
部下の話を聞かない上司によくあるパターンは次のとおりです。
・話をしている部下の方を見ない
・自分の仕事をしながら聞く(目線は自分の仕事の方)
・腕組みと脚組をしながら、えらそうな座り方で聞く
・あいづちが無い
・無愛想
このような話の聞き方にならないように注意しましょう。
部下が話をしている時は、相手の顔を見て、うなずきながら話を聞きましょう。
部下の話の要点をノートにメモをしていくと、さらに聞いていますよという感じが相手に伝わります。
忙しい時は部下の話がめんどくさいと感じる時もあると思いますが、このめんどくさいことが、後に大きな差を生みます。
常に意識して、習慣化させないとダメですね!
適度に仕事以外の会話もする
部下をやる気にさせるには、まず部下の心のコップを上向きにしないといけません。
どんなに美辞麗句を並べても、部下に上司の話を聞く心がなければ、部下に話は通じません。
コップが下を向いていては、水はこぼれてしまうだけです。
まず、部下の心のコップを上向きにする工夫が必要です。
心のコップが上に向いて初めて、上司の言葉が部下の心に沁みていきます。
この心のコップは、普段の人間関係で築かれるものです。
そのためにも、仕事以外の話をして、良好な人間関係を築きましょう。
たまには、飲みニケーションもおススメです!
仕事の話でもいいのではないか、という意見もありますが、仕事以外の話だからこそ、部下は安心して心を開き、上司と話ができるのです。
仕事の話では、やはり部下は上司の顔色を見て話をするものです。
「~ならできるよ」等の期待を込めた言葉をかける
上司から期待されている、部下がこう思うことは部下のやる気アップにつながります。
「どうして出来ないんだ」という叱責より、「~ならできるはずだ」という言葉がけの方が人間、やる気が出るはずです。
言葉の力は言霊(ことだま)といって、大きな力があります。
同じ内容の話を伝えるにしても、「できない」という否定的な言葉ではなく、「できる」という肯定的な言葉で、話しかけた方が、部下の心にパワーを与えていきます。
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「部下にやる気がない」と嘆く前に上司自身が考えること
やる気がない部下に、ただ嘆いていても何も変わりません。
嘆く前に、なぜやる気が出せないのか、自分の側に原因はないだろうかと考えてみましょう。
たとえば、次のような視点で振り返りをしてみましょう。
部下の特性を把握しているか
適材適所といいますが、その人の特性にあった部署に配属されれば、上司も部下も苦労しません。
でも現実はそうはいかないことがほとんどです。
仕事も、それぞれに適したものを渡せればいいのですが、そんなことを言ってられない状況の方が多いでしょう。
そのとき大事なのは、部下の特性をあなた自身がきちんと把握しているか、ということです。
例えば、同じ仕事の指示でも、言い方一つで相手の受け取り方が変わります。
やって当然!という姿勢で話をしても人を動かすことは出来ません。
部下も十人十色、色々なタイプがいるため、部下の特性に応じて話し方を変えましょう。
どう伝えれば、どんな言葉で伝えれば部下の心を動かせるだろうか、それを考える必要があります。
自分を成長させるチャンスと捉えること
人を動かすのは簡単なことではありません。
組織のリーダーなら、誰しもが悩んでいることです。
しかも、部下をマネジメントする方法に「絶対」はないからこそ、みんな悩んでいるんですよね。
でも、これこそが自分を成長させる絶好のチャンスです。
やる気がない部下がいる時こそ、「この部下のやる気を引き出してみよう」とプラスに捉えてください。
責めているだけでは誰も得をしません。
部下のやる気がないのは自分が原因だ、くらいに捉えた方がプラスにつながります。
部下の成果はあなたの成果にやがてつながるのですから。
部下は、問題に直面した時の上司の態度を見ているんですね。
なぜ部下はやる気が出ないのか
どうして人は思ったように動いてくれないんでしょうか。
これしきの仕事、どうしてテキパキ出来ないのか、と腹も立つでしょう。
部下をやる気にさせるコツを実践する一方で、どうして部下がやる気にならないのか、その原因を見ていくことも大切です。
部下には部下なりの、やる気になれない理由があるのかもしれません。
上司の指示が伝わっていない
意外と多いのが、「伝えているつもり」です。
自分ではきちんと説明したつもりでも、あなたの真意が相手に伝わっていない、ということは多々あるものです。
相手が分かっていない、というのとはちょっと違っているので注意が必要です。
相手は相手なりの理解をしているのですが、それがあなたが伝えたかったこととは違って理解されていることがあるのです。
ですから、思ったように動かない、やって欲しいことをやってくれないということになるんですね。
仕事に達成感が感じられない
やっている仕事の目的が分からず、ただこなしているだけになってしまうと、どうしてもやる気が出てきません。
この仕事に取り組んだらどんな成果が得られるのか?何のためにやっているのか?という明確な目的意識を持たないままだと、どうしてもやる気が出てこないのです。
周りの人に引きずられている
やる気がないと思う部下以外にも、「この人、やる気がないな」と感じられるような人はいませんか?
人間とは弱いものです。
楽な方へ流されることもあります。
「この程度の仕事しかしなくてもお給料がもらえるんだ」と思うような仕事しかしていない人が周りにいたら、その人の影響を受けて、部下の仕事に対する意欲も段々薄れていってしまいます。
自己肯定感が持てない
この仕事は自分でないとダメなのか?私がやる必要があるのか?誰でもいいのではないか?と、「私でなくても出来るじゃん」という気持ちになってしまうと、やる気を引き出すのは難しいでしょう。
私が実践していること
私が会社で実際にやっている心がけを紹介します。
やる気がない部下に対して、励ますことも大切ですが、時には感情的に叱ることも必要です。
そんなとき、私は1つの基準があります。
それは、その部下のことを幸せにしたいという想いが心の奥にある時だけ、きつい言葉で叱ります。
逆に、本当に腹が立って、懲らしめてやりたい気持ちになっている時には叱りません。
そのため、私は会社で、怖くて優しい上司になっています。
この適度な厳しさと優しさが必要だと思います。
上司には権力があります。
上司は権力を使って部下を懲らしめることもできてしまいます。
でも、その権力は部下を不幸にするのではなく、幸せにするためにのみ使うものと考えています。
まとめ
やる気の問題は、どちらがいい悪い、という善悪だけで判断できるものではありません。
人間ですから、行き違いもあります。
お互いが歩み寄り、時には部下が間違っていると思っても、ただ相手を責めるだけでなく上司であるあなたが歩み寄ることも必要です。
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