どんなビジネスも、人間と同じように寿命があります。
この世に誕生してから、4つの段階を経て、寿命を迎えます。
あなたのビジネスは、今どの段階にいるのでしょうか?
4つの段階それぞれに、商品の売れ方の特徴があり、取るべき販売手法があります。
そのため、自分の会社の商品やサービスが、今どの段階にあるのかを把握することができれば、今、何をするべきなのかが分かり、事業のさらなる発展につなげることも可能になります。
そこで今回は、次の2つを紹介します。
◆ ビジネスの成長曲線「製品ライフサイクル」の4つの段階とは?
◆ 4つの段階で、どういう手を打つべきなのかという「販売戦略」
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ビジネスの成長曲線(製品ライフサイクル)4つの段階
導入期 | 成長期 | 成熟期 | 衰退期 | |
販売戦略 | 認知拡大・試用促進 | シェア拡大 | シェア維持 | 利益の確保 |
市場規模 | 小さい | 徐々に拡大 | 最大 | 縮小 |
需要と供給 | 需要 > 供給 | 需要 > 供給 | 需要 < 供給 | 需要 < 供給 |
売上 | 低水準 | 急上昇 | ピーク | 低下 |
原価 | 高い | 高い(→低下) | 低いまま | 低いまま |
販売管理費 | 多い | 多い | 減少 | 固定費中心 |
利益 | マイナス | 増加 | ピーク | 低下 |
価格 | 高い | 徐々に低下 | 安い | 安い |
価格戦略 | コストプラス法 | 市場浸透価格 | 値引き合戦 | |
競合他社 | ほぼ無し | 増加 | 安定(→減少) | 減少 |
購買の基準 | 業者の信用・信頼関係 | 店舗・設備の充実度 | ||
購買の動機 | 新しい・珍しい・試してみたい | 品揃え・価格 | 利便性・個別対応 | |
広告PR内容 | 商品を知ってもらう | 価格ごとの商品説明 |
「成長曲線」、「製品ライフサイクル」と聞くと難しく感じますが、簡単に言うと、新規事業や新商品が市場で販売され、その後に衰退していくまでの一連の流れのことです。
この成長曲線は、事業でも商品でも、同じようなプロセスをたどります。
大きく分けると、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つの期間があります。
それぞれの期間の特徴を見ていきましょう。
導入期
成長曲線の最初の段階で、製品が市場に投入された初期の段階です。
この時期には製品に対する認知度が低く需要はあまりありません。
大切なのは、需要の低さが製品の性能のせいなのか、それとも単に認知度が低いだけなのかを見極めることです。
導入期には、市場での認知拡大を目指して数多くの広告を打ったり設備投資をするため、多くの製品で赤字になります。
現在の製品例としては、人工知能を搭載した対話型ロボットなどが導入期の製品として挙げられます。
成長期
市場で製品の認知が広まり、需要もどんどん増え、成長曲線も急激に上昇する段階です。
導入期と同じような費用が発生しないため、売上と同じく利益も向上します。
消費者のニーズが高まることによって、競合他社が似たような製品を販売し始める時期です。
この段階では、製品に新機能を追加するなど、他社との差別化を図ることが求められます。
現在の製品例としては、認知や売上という点から見ても、スマホやタブレット端末が成長期の製品として挙げられます。
成熟期
消費者のほとんどに製品がいきわたる段階です。
成長期と同じような売上、利益の上昇は期待できませんが、この段階では安定した利益が確保できるようになります。
もしくは、競合他社との価格競争がヒートアップして、値崩れを起こし利益確保が難しくなってしまうこともあります
。
現在の製品例としては、ほとんどの家庭にいきわたり、今後の大きな市場拡大、売上拡大が期待できないパソコンが、成熟期の製品として挙げられます。
衰退期
製品自体が消費者ニーズに合わなくなったり、既存製品に代わる新製品の誕生により売上、利益が成長曲線において下降を始める段階です。
この段階では、製品の供給が市場の需要を上回るため、製品がどこにでもある飽和状態となります。
完全な価格競争となり、在庫一斉処分や値引き合戦、安売りが始まります。
現在の製品例としては、スマホやタブレット、インターネットの拡大によって売上を減少させているテレビが、衰退期の製品として挙げられます。
地デジ対応のテレビへの買い替えが終わり、既にテレビ産業においては事業縮小が進んでいます。
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4つの段階で、どういう手を打つべきなのか?
ビジネスの成長曲線「成長期・成長期・成熟期・衰退期」では、それぞれ打つべき販売戦略があります。
では、それぞれの段階で、何をするべきなのか、詳しく紹介します。
「導入期」の販売戦略
消費者に知ってもらう
導入期は、認知度を高めることが最優先事項です。
まずは知ってもらうために、テレビやラジオ、新聞広告やチラシの折り込みなど、広告を打っていきます。
人は1日に3回、形を変えて認識すると記憶に残るという性質がありますので、1つの媒体に絞るのではなく、色々な媒体で何回も目に入るように広告を打ちます。
たとえば、朝刊の新聞折り込みで1度目に入り、通勤中の看板で目に入り、帰宅後のテレビCMで目に入れば、記憶に残りやすくなります。
消費者の反応を確認する
また、市場に新たに導入した製品に対する消費者の反応を確かめることも大切です。
テレビや新聞、インターネットなどを利用した広告、モニタリングなどを実施して消費者の反応を確かめます。
成長曲線において、広告費用が高くなる時期ですが、この時期の宣伝効果が後々に売上増加に影響してきます。
「成長期」の販売戦略
この時期には、シェア拡大とリピーター確保が重要になります。
競合他社も増えるため、新規顧客とリピーターを確保するためのマーケティングが求められます。
この時期には導入期以上に広告費が大きくなりますが、それに連動して売上も増加していきます。
競合他社との差別化を図るために、値段の設定、サービスの充実、生産ラインの拡張が効果的です。
「成熟期」の販売戦略
成熟期に求められるのは、製品寿命を引き延ばすためのマーケティングです。
競合他社の製品を研究し、自社製品の売上と利益の安定性を目指します。
この時期には製品の多角化を行うことで新規顧客の獲得を目指しつつ、既存の顧客を維持することが効果的と考えられます。
価格競争が激しくなる時期でもあります。
衰退期が目前に控えているため、新商品の投入や新技術の採用をすることで、従来の商品やサービスをもう一度、新しい商品、サービスとして「導入期」に戻せる可能性もあります。
たとえば、教育分野では「そろばん」があります。
計算技術としてのそろばんは、完全に衰退期に入っていましたが、近年、右脳開発としての効果が認められ、新しい右脳開発教育として、そろばん人気が出てきております。
「衰退期」の販売戦略
衰退期には次世代の製品を提供することを考え始める必要があります。
売上が先細りとなっている製品にいつまでもしがみつき撤退が遅くなると、企業イメージのダウンにもつながります。
既存の製品で築かれた企業イメージを利用して、新しい製品を市場に投入する方法を考える必要があります。
まとめ
あなたの取り扱っている商品、サービスは今、ビジネス成長曲線(製品ライフサイクル)のどの段階に位置していますでしょうか。
自社製品の位置を正確につかむためにも、日ごろからの情報収集が大切です。
新聞、テレビ、業界紙など、定期的に目を通しましょう。
市場の動きを読み、適切な販売戦略をとって事業の拡大を目指しましょう。
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