京セラ名誉会長であり、KDDIの創立者としても知られる稲盛和夫氏がまとめた、人生や仕事でより良い成果を上げるための方程式があることをご存知でしょうか。
どうすれば人生は良くなるのか?
どうすれば仕事で良い結果が残せるのか?
この方程式は、それらの答えを導き出すヒントになるはずです。
そこで今回、この稲盛和夫氏の「成功のための方程式」を紹介します。
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成功のための方程式とは
成功のための方程式
人生・仕事の結果 = 考え方 × 熱意 × 能力
出典:稲盛和夫「心を高める、経営を伸ばす」PHP研究所 1999年
稲盛和夫氏はこの方程式で、人生や仕事の結果は、本人の考え方と熱意と能力で決まると述べています。
考え方も熱意も能力も、すべて自分自身の問題です。
私たちは問題に直面すると、うまくいかない原因を社会や他人のせいにしがちですが、稲盛和夫氏は良いことも悪いことも、すべて自分に原因があると考えます。
自分自身がどういう考え方で、どれくらいの熱意を持ち、どのような能力を持っているかで人生の成否が分かれるということです。
そして、この方程式には2つのポイントがあります。
ポイント① 方程式はかけ算
ポイントのひとつは、この方程式は足し算ではなく「かけ算」になっているということです。
3つの要素それぞれが100点満点だったとして、これが足し算なら300点満点にしかなりません。
しかしこの方程式はかけ算です。
すべて0点の人と、すべて100点満点の人との間には、100万点もの差が開くということです。
努力次第で人は信じられないほどの高みに到達し、成功できるということを表しています。
ポイント② 大切な順に並んでいる
2つ目のポイントは、この方程式の要素「考え方」「熱意」「能力」が先頭から順に、大切な順番で並んでいるということです。
つまり、人生で成功するために1番大切な要素は「考え方」ということです。
その次が熱意、最後に能力と続きます。
それでは、なぜ「成功のための方程式」は足し算ではなくかけ算なのでしょうか?
なぜこの順番なのでしょうか?
これらの疑問と合わせて、「考え方」「熱意」「能力」の3つの要素を1つずつ詳しく紹介していきます。
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「考え方」とは
稲盛和夫氏はこの方程式の中で、「考え方」が最も大事だと述べています。
ここでいう考え方とは物事を自分がどう捉えるか、どう感じるか、心のあり方のことをいっています。
では、どのように考えることが良いのか、詳しく紹介していきます。
原理原則に従って考える
人生は何が起きるかが重要ではなく、それをどう考えるかが大切です。
ここでいう考え方とは、損して得とれとか、儲けるノウハウやテクニックのことを言っているわけではありません。
人として正しい道徳観や倫理観のことを言っています。
例えば、損得勘定でなく善悪で判断すること、いつも謙虚でいること、自分のことばかり考えずに仲間の幸せも願う志を持つこと、誰にも負けない努力をすることなどです。
このような、時代や地域を超えて、人として正しいと判断される考え方を稲盛和夫氏は「原理原則」と呼んでいます。
自分の価値観で判断すれば、そこに損得勘定や甘えが入りこみ、判断の基準がぶれます。
だからこそ、原理原則に従って判断することで、常に正しい判断が下せるようになります。
稲盛和夫氏は、判断に迷った時は常に「動機善なりや、私心なかりしか」と考えて判断するのも有名な話です。
まずそのことを考えた動機が善であること、そして、その考え自体に私心がないこと、これが稲盛和夫氏の判断基準です。
私心を挟まず、人として正しいかどうか、全体のプラスになるかどうかで判断します。
これは、経営の神様とも言われている松下幸之助氏も同じようなことを述べています。
松下幸之助氏に代表される言葉に「素直」があります。
この言葉は、他人の意見を何でも「はい」と答えることではなく、私心を挟まず物事を見聞きし、原理原則に忠実であることをいいます。
なぜ原理原則で判断すべきなのか?
では、なぜ原理原則で判断すべきなのでしょうか。
仕事であるならば、個々の事案に対して、経済合理性(いかに稼ぐか)を優先して判断すべきではないのでしょうか。
この疑問に対して稲盛和夫氏は、正しく考え、善い行動をすれば、良い結果が現れるからと説明しています。
原理原則に従って行動すれば、短期的には損なことであっても、結果的には成長の道につながっている。
逆に、経済合理性を優先するあまり、原理原則に反した行動をすれば、短期的には得であっても、結果的に悪くなっていく、と述べています。
これについても松下幸之助氏は、原理原則に反する行動がなぜ悪い結果につながるかというと、「真理に反するから」と述べています。
中国の有名な古典にも「義は利の本なり、利は義の和なり」という言葉があります。
これは、原理原則は利益の元になるものであり、利益とは原理原則の集合体であるという意味です。
自分自身が正しいと考えることには、どうしても私利私欲が入り込んでしまいます。
だからこそ、私心を挟まず、原理原則を基準に判断して行動することが大切になってきます。
「考え方」の特徴
この「考え方」には熱意や能力とは違うところがあります。
それは、「熱意」や「能力」は、0点から100点満点なのに対し、この「考え方」はマイナス100点からプラス100点まであるということです。
成功のための方程式はかけ算であるため、熱意や能力はどんなに低くても0点ですから、マイナスにはなりません。
しかし、考え方がマイナスだと、熱意や能力がどんなに点数が高くても、結果的にマイナスになってしまいます。
考え方がマイナスだと、熱意や能力のある人ほど、逆に、大きなマイナスの結果になってしまいます。
それほどまでに人生においては「考え方」が大事だと考えているわけです。
「熱意」とは
次に熱意です。
熱意とは努力と言い換えても良いかもしれません。
どのくらいの情熱を持って仕事に取り組めるか、これ以上は出来ないというところまでとことん努力をしているのか、そういったことが仕事では大事になってきます。
人は怠ける生き物ですから、ある程度の結果が出ると、次からは「このくらいでいいや」と自分にブレーキをかけて楽をしようとします。
しかし、それでは一流になれません。
もし才能に恵まれていたとしても努力をしなかったらどうなるでしょうか。
努力は0点から100点までありますが、0点ならかけ算ですべてをゼロにしてしまう可能性だってあります。
たとえ能力が他の人より劣っていたとしても懸命に努力をする姿を見れば、誰かが手を差し伸べてくれるでしょう。
その熱意、努力によってさらに結果をより良い物にしていくことも十分可能なのです。
大事なのは懸命な努力。
熱意の量と方向性が大切です。
これを間違えなければ、生まれついての才能に恵まれていなくても結果は残せます。
「能力」とは
能力とは生まれ持った才能や知能のことです。
頭の良さはもちろんのこと、運動能力なども含まれます。
後天的な努力で能力を高めていくこともできますが、これは前項の「熱意」として考えているため、この「能力」では含めません。
能力には0点から100点までありますが、生まれ持った能力なので、自分の意思でどうにか出来るものではないと稲盛氏はいいます。
ですから3つの要素の中では優先順位が低く、3番目に位置づけられています。
人生も仕事も、自分の考え方次第
私たちは、成功する人は何か特殊な能力の持ち主であり、生まれつき才能を持った一部の人だけが人生を思うように生きているのだと思いがちです。
しかし、稲盛和夫氏のいうように「考え方×熱意×能力」で人生が、仕事が変わるとしたら、これからの生き方を見直すきっかけになるのではないでしょうか。
人に負けないくらいの熱意を持って仕事に取り組んだら、才能に恵まれている人よりも結果を出せるかもしれない。
自分は凡人だからと諦めていた人でも、人生に希望が持てると思います。
逆に、自分の才能、能力にあぐらをかいて努力を怠れば、マイナスの結果をもたらすことすらあるということですから、何かの才能に恵まれた人は、最大限それを活かせるように、熱意と考え方のポイントを上げていきたいですね。
現状を嘆いていても人生は変わらないのです。
今、何かうまくいっていないことがあるなら、この方程式に当てはめてみて、どこをプラスにしていけば良いのかを考えてみませんか。
まとめ
もしも人生や仕事で迷いが生じたら、自分は人として正しい方向に考えられているか、感謝の心を持って人と接しているか、これ以上は出来ないと思えるくらい努力をしているか。
そんなことを自分に問いかけてみてください。
言葉としてはシンプルで、真新しい概念ではないかも知れませんが、実行できている人は少ないと思います。
生き方の指針として、肝に銘じておきたい言葉です。
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