せっかく狭き門を通って公務員になったのに、辞めようと思う人は少なくありません。
公務員を辞めるというと、必ず身内や友人からは「甘い」という意見が出ますが、本当にそうなのでしょうか。
今回は、公務員を辞めたいと思うことは甘いのかどうか、どう考えるべきか、本当に公務員を辞めた私の経験談も踏まえながら紹介します。
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公務員を辞めたいと思う理由
世間では「安定している」というイメージのある公務員ですが、なぜ辞めたいと思うのか、実際に辞めた人の話ではこのような理由が挙げられています。
理想と現実のギャップ
バリバリ仕事をしたい!と思って意気込んで仕事を始めたものの、毎日同じような事務仕事の繰り返しで、思っていたのと違うと感じてしまう人は少なくありません。
一部には法律の策定に関わったり、事業の企画を立てる部署もありますが、ほとんどはマニュアルに従って業務をこなすことが主な仕事なので、理想と現実のギャップを感じてしまうようです。
しかし行政とはそういうものなので、これは事前のリサーチ不足だと言えるでしょう。
女性の場合は、もっと男女平等、女性でも同等に扱ってもらえると思っていたところが、やはり男尊女卑の世界であるという現実を目の当たりにして、幻滅してしまう人もいます。
やりがいが感じられない
民間企業のように売上があるわけではありませんし、頑張ったからといってそれが給料に反映されるわけではありません。
安定している代わりに、大きく給料が上がることもありません。
仕事の成果が給与に反映されないということで、やりがいを感じられなくなる人もいます。
長時間の残業
公務員は暇だ、楽だと思っている人は多いと思いますが、それは一部の役場の窓口仕事くらいでしょう。
国家公務員、特に中央省庁で働く人は体力と精神力がなければやっていけません。
夜中になっても中央省庁の電気が消えることはまずないからです。
家が遠い人は帰る時間がもったいないと、月曜日に出勤したら帰るのは金曜日、なんてこともあるのです。その日のうちに家に帰れればいい方でしょう。
それだけの長時間残業が続くと、倒れる前に心が折れてしまい、仕事を続けられなくなる人もいるのです。
残業代が出ない
各省庁の予算は決まっています。
仕事がどれほど忙しくても、朝まで仕事をしても、月の残業代が3万円なんてことは当たり前です。
数万円でもつくだけマシです。
公務員は労働基準法が適用されませんので、サービス残業は当たり前なのです。
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年功序列が当たり前
どんなに嫌いな上司であっても、どんなに出来ない上司であっても、自分が組織の中でその人を越えることは絶対にありません。
公務員の世界では年功序列が当たり前です。
仕事で結果を出しても、それは個人の手柄というよりも組織の手柄です。
そして、いつまでも出来ない上司の元で言うことを聞いて仕事をしなければなりません。
上昇志向の高い人ほど、この仕組みに我慢が出来ず、辞めてもっと他の可能性を探ろうとします。
国家公務員は全国転勤
省庁にもよりますが、国家公務員は基本的に全国転勤です。
家族を持つと、配偶者の仕事の関係などで転勤したくないと考える人も増えてきます。
世間のバッシング
公務員は仕事をきっちり、期待以上にやって当たり前という世間の考えがあります。
ちょっとしたことでも民間企業以上にバッシングを受けるため、これだけ残業してがんばっているのに、どうしてそんなひどいことを言われないといけないのかと我慢できなくなってしまう人もいます。
もう一度、何をしたかったのか考えてみる
たしかに公務員は狭き門です。
特に国家公務員は、筆記試験、面接試験と合格して初めて名簿に載り、そこから各省庁の採用を勝ち取らなければなりません。
辞めたらもったいないという意見も分からないではないです。
でも、「辞めたい」と思うということは、本来自分がやりたかったこととギャップが出てきているからではないでしょうか。
あなたは何のために公務員になったのか、どんな仕事がしたかったのか、それをもう一度考えてみましょう。
あなたが「安定している」という理由だけで公務員を選んだのなら、最初にお話ししたような理由では辞めたいと思わないはずです。
もし他にやりたいことがあるなら、転職や独立開業だって視野に入れて考えるべきではないでしょうか。
世間の感覚に合わせる必要はない
公務員を辞めたいなんていうと、「せっかく公務員になれたのにもったいない」といわれることが多いでしょう。
でも、何がもったいないのか、もう一度考えてみましょう。
安定して毎月お給料をもらえることが大切だと思っている人にとっては、辞めることが「もったいない」になりますが、それはあなたの価値観と一致するのかを考えてみれば自ずと答えは出てくると思います。
それに「甘い」という人は、たいてい公務員の過酷な現実を知らない場合も多くあります。
みんな自分の価値観でいろいろなアドバイスをしてくれますが、最終的にあなたの人生の責任を取るのはあなた自身です。
あなたはどうしたいのか、世間の感覚に合わせるのではなく、自分自身の価値観で考えてみて下さい。
他人の意見に左右されないこと
たしかに、1つのことに専念し、頑張っていれば見えてくるものもあるかもしれません。
しかし、数年経って「やっぱり時間の無駄だった」と思っても、誰も責任は取ってくれません。
だから、辞めるか続けるかは自分で決めるべきです。
自分がどう生きたいのか、どんな結果になろうとも自分で決めたことは後悔しません。
やる気と学ぶ姿勢があれば何でも出来る
コネで入った地方公務員などは別として、公務員試験に合格している人は、それなりに勉強をした人たちです。
公務員試験は、上位の試験になるほど難しく、少しの勉強で通るほど簡単ではありません。
ですから、基本的に公務員になった人は勉強が出来る人です。
仕事と勉強は関係ないという人もいますが、最低限の頭がないと、出来るものも出来ません。
一応一通りの勉強が出来る人ですから、その頭を生かせる仕事を見つけて転職したり起業したりしている人は、実は少なくありません。
やる気と熱意、そして新しいことをどんどん吸収する姿勢さえあれば、どんな仕事でも出来ます。
続けることで、むしろ潰しがきかなくなる危険
公務員であっても、年齢がいってからの再就職が厳しいのは同じこと。
公務員はスペシャリストである必要はなく、ゼネラリストであることが求められます。
1つのことだけが突出して出来るのではなく、どんな部署に行ってもそつなく仕事をこなせる能力が必要です。
ですから、民間人のように「営業」「経理」「人事」など、何かひとつのことに秀でているというものがありません。
この安定している生活を捨ててもいいのかと悩んでいる間に、どんどん年を取ります。
秀でたものがないからこそ、民間人よりも再就職は厳しくなるかもしれません。
決断するなら早い方がいいでしょう。
公務員を辞めた私の実体験
かくいう私も公務員を辞めた経験があります。
3年間公務員を務め、えいやーっで辞めました。
めちゃくちゃ勇気いりましたけど。
清水の舞台から飛び降りる覚悟で、直属の上司に辞めると伝えました。
上司は自宅まで来て「辞めるな」と説得するし、家族も大反対です。
「公務員辞めたら、仕事なんて無いぞ!」、「絶対、後悔するぞ」と色々ありがたいアドバイスもたくさんいただきました。
しかし、今は経営者となっています。
本当にあの時、勇気を出して、辞めて良かったと思っています。
本当の安定とは
「本当の安定」とは、自分自身が人の役に立つ実力を養い、稼ぐ力を身に付けることではないでしょうか。
このサバイバル能力を身に付けることで、私は自由になることが出来ました。
組織に依存しなければ安定できない状態は、決して安定しているとは言えません。
自分の足で立って初めて自立です。
民間企業には頑張っていない人もいる
民間企業でも(本当の意味で)必死に仕事している人は、2割です。
よく2:6:2と言いますが、これは民間企業にも当てはまり、稼ぎ頭は2割、そこそこ頑張っている人は6割、さぼっている人が2割です。
だから、公務員を合格できるほどの優秀な人なら、本当に死ぬ気で頑張れば、民間企業でも稼ぎ頭の2割に入ることもできますし、トップに立つことも可能です。
まとめ
大事なのは、公務員を続けるかどうかではなくて、「どうやって生きていきたいのか」です。
やりがいを求めるのか、安定した給料を求めるのか、それはその人次第です。
周りの人から甘いとかもったいないといわれても、それが自分の価値観に合わなくなっているのなら、ずるずる続けるよりも新しいことにチャレンジした方が良いのではないでしょうか。
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