試用期間とは、企業が採用した人を自分の会社に適性があるかどうか見る期間ではありますが、この期間に体調不良でどうしてもやめざるを得ないとなった場合、どうすればいいのでしょうか。
どのように手続きをすればいいのか、そもそも解雇ではなくて「退職」ができるのか、試用期間中に体調不良で退職を申し出る時の注意点について紹介します。
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試用期間とは?
試用期間というと本格的な採用ではなくてお試し期間、だからこの間に不都合なことがあると「やめさせられてしまう」と思っている人も多いのですが、それは違います。
たしかに会社が採用した人の能力やスキルを判断するための期間ではありますが、それは本格的にどの部署で活躍してもらうかということをみるためであって、よほどのことがない限り解雇にはなりません。
無断欠勤をしたとか、経歴詐称が発覚したとか、社会人として信用をなくすようなことをしない限り、「思ったほど有能ではなかった」というような理由では解雇できないのです。
※合法的にやめさせられる場合は記事後半に書いています。
逆にいうと、労働契約はきちんと締結されているわけで、労働者が会社をやめるにしても勝手にやめることは出来ません。
きちんとした手続きが必要だということです。
試用期間の期間は?
試用期間には、法律よる明確な規定はありません。
ただ、一般的には1ヶ月~半年くらいの期間で定めているところが多くあります。
体調不良でも有給休暇が取れない
有給休暇については会社の就業規則を確認しなくてはいけませんが、たいていの場合、試用期間も含めて、勤務開始から半年後に付与されることが多く、試用期間中は取れないことがほとんどです。
無給の欠勤をするしかありませんが、体調不良で数日欠勤したくらいでは解雇にはなりませんので、きちんと連絡をして休むようにしてください。
無断で休んでしまうと、それこそ解雇になってしまう可能性があります。
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試用期間中の退職理由を「体調不良」にする場合の注意点
体調不良というのは、重病でもない限り周りには分かりにくいものです。
本人としては辛い状態でも周りの人から見て分からないことが多いので、体調不良を理由にやめると言った場合、「やる気がない」「他に理由があるのではないか」と思われてしまうこともあります。
試用期間中とはいえ、円満に退職するためには次のことに注意してください。
できれば1ヶ月以上の間をおいて伝える
会社を辞める時には、少なくとも1ヶ月以上の期間をおいて申し出ることがマナーです。
いくら試用期間中とはいっても、あなたが仕事をする前提で人事異動などがあり、誰が何をするかが決まっていたわけです。
いきなりやめられれば、あなたの仕事を誰がカバーするのかなどの調整が必要になり、周りの人たちに迷惑をかけてしまいます。
また、猫の手も借りたいくらい忙しい繁忙期などは、人手が一人でも多く欲しいところでしょう。
どうしても出勤できないほどの体調不良でなければ、忙しい時期にやめることはなるべく避けた方がいいですね。
最低でも14日前に伝える
それでもどうしても今すぐにやめたい、これ以上続けられないという場合もあるでしょう。
しかし、その場合であっても労働基準法の規定により、14日以上前に退職の意思を伝えておくことが必要です。
つまり、今すぐやめたいと思ってもあと2週間はやめられないということです。
試用期間中でも労働契約は成立していますから、法令は遵守しなければいけません。
例えば会社の就業規則で「30日以上前に届け出る」となっていたとしても、労働基準法の方が効力が強いので、最低でも14日前に申し出れば大丈夫です。
会社に迷惑をかけることにはなりますが、合法的に退職できます。
しかし、いきなり翌日から行かないなどという非常識なことをしてしまうと、場合によっては損害賠償などの問題にもなりかねないので気をつけてください。
もし今すぐやめたい場合は
14日さえも待てないほど体調不良の状態がひどい場合は、会社と交渉しましょう。
・ どうしても続けられない旨を正直に話す
・ 医師の診断書を提示する
など、すぐにでもやめられるように話し合いをして、それが認められれば14日以内でも退職が可能です。
まずは直属の上司に伝える
いつやめるにしても、まずは自分の直属の上司に自分の口で退職の意思を伝えましょう。
事前にアポイントを取って時間を作ってもらい、別室などで退職の申し出をするとスムーズに話が出来ます。
いきなり仕事中に席にいって話したり、廊下で立ち話のついでにすることではないので、きちんと時間を取ってもらいましょう。
というのは、「体調不良でやめたいです」といって、「ああそうですか」と二つ返事でOKする上司はまずいないからです。
どこがどう悪いのか、本当に仕事に支障があるのかなど、上司の側もあれこれ聞きたいはずですし、それにはきちんと答えないといけません。
場合によっては、部署を変わって仕事を続けるなど、辞めない方向性で話が進むここともあるからです。
ですから、落ち着いて話が出来る場所で時間をかけて話せるような環境を作ってもらう必要があります。
体調不良であることを事前に伝えておく
やめると申し出る前に、さりげなく体調が悪いことが伝わるようにしておくのが理想です。
どのような体調不良なのかにもよりますが、よほどの病気でない限り、周りには分かりづらいことも多いので、さっきまで元気に仕事をしていた部下からいきなり「体調不良でやめたい」と言われても、上司も納得しづらいからです。
「最近体調が悪い」ということを仕事の合間の会話などで出しておき、仕事が辛いということをにおわせておくと、申し出た時に「やっぱりそうだったのか」と思ってもらえるでしょう。
診断書を用意しておくと良い
医師の診断書がないと退職できないわけではありませんが、病名によってはあなたの話だけでは理解してもらえないかもしれません。
医師の診断書があれば仕事の継続が難しいということも分かかってもらいやすくなります。
円満退職のために
短期間の就労でやめることになったとしても、そのわずかの期間でお世話になった人はたくさんいるはずです。
あなたを採用してくれた人がいて、仕事を教えてくれた人がいます。
その人達にお世話になりましたという挨拶を忘れないでください。
「入ったばかりですぐやめちゃった、すごい迷惑な人がいたよね」と思われるより「もっといてほしかった、やめてしまって残念だった」と思われた方がいいですよね。
人として当たり前のことですから、お世話になった人にはきちんと挨拶をしてからやめるようにしましょう。
そもそも退職理由は伝えるべき?
退職に際して細かい理由を伝える義務はありません。
ですから、周りの人に退職理由を聞かれたら、無理に言わなくてもいいですが、隠し立てする必要がない範囲で話せばいいでしょう。
次の転職に影響しないために
体調不良で退職することが悪いわけではありません。
誰だって、健康上の理由で仕事が続けられなくなる可能性はあるからです。
ただ、次の仕事につくときに悪い印象を持たれないために、転職先の面接の際には次のことに注意をしてください。
第一印象が大事
面接は本当に第一印象が大事です。
え、病気してたの?と思われるくらいに明るくハキハキと、元気に話しましょう。
下を向いてボソボソと話していては自信がないように見えますし、これじゃあここでも長くは務まらないなと思われてしまいます。
今は仕事に影響がないことを伝える
以前はたしかに体調不良でやめたけれど、もうすでに治療は終わり、今は日常生活はもちろん、仕事にも何の支障もないということをアピールしましょう。
もし、仕事はできるが通院が必要という場合は隠さずに正直に伝えます。
その方が周りの理解を得やすいですし、後々トラブルになりません。
試用期間中に合法的にやめさせられる場合
この記事の前半で、試用期間であっても簡単にはやめさせられないとお伝えしましたが、次の場合、会社は合法的に労働者をやめさせられますので注意が必要です。
それは、雇用契約書で雇用期間を〇月〇日~〇月〇日までと切ってある場合です。
この場合、会社は「解雇」にもなりませんし、訴えられることもありません。
「雇用契約期間の満了」という形で合法的に、やめさせることが可能です。
たとえば、4月1日から出社するにあたり、会社側から4月1日~6月30日までを試用期間と説明され、試用期間で一度、雇用契約を切る場合がある旨の説明が事前にある場合は、6月30日付けでやめさせられても文句は言えません。
正確には、「やめさせられる」というより、「契約更新がされなかった」ということです。
まとめ
突然の体調不良は仕方のないことです。
休んでばかりで周りに迷惑をかけるより、すぱっとやめて治療に専念するのも大事なことですから、やめること自体は悪いことではありません。
しかし円満に退職するためには、体調が悪くて仕方なくやめるんだということを強調するよりも、ここで仕事が続けられなくて残念ですという気持ちを周囲に伝えましょう。
試用期間中でもマナーを守った手続きをすればお互い気持ちよく退職することが出来ます。
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