部下との関係でこんなことはないでしょうか。
部下を注意したり、指導したつもりが「パワハラ」と言われてしまった。
もしくは「パワハラ」と言われるのが怖くてなかなか指導ができない。
実は、「怒り」と「叱り」は全く違うものです。
今回は、「怒る」と「叱る」の違いや、怒鳴りたい気持ちを爆発させずに叱るコツを紹介します。
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「怒る」と「叱る」の違いとは
たとえば部下が会議に遅刻をしてきたとします。
その会議は大切な会議で、部下は日ごろから時間の管理がルーズだとあなたが感じていたとしましょう。
部下を「怒る」場合、「馬鹿野郎!何を考えているんだ!」と怒鳴るかもしれません。
部下を「叱る」場合、「会議に遅刻したことで、どんな不利益が起きるか考えてみてください。」と話すかもしれません。
起きたことは同じなのに、行動が全く変わっていることはお判りいただけたでしょうか。
「怒る」と「叱る」、この全く異なる二つについて考えてみましょう。
「怒る」ことは感情の爆発
「怒る」ことは人間の根源的な感情であり、生まれてすぐに備わると言われています。
おなかがすいた、おむつが濡れて気持ちが悪い、そんなとき赤ちゃんは顔を真っ赤にして泣いていますね。
弱々しい甘えた泣き方ではなく、まさに火がついたように大声で泣きます。
この時の感情は「怒る」であり、人間が生きているうえで必要な「不快」の原始的感情です。
「怒る」という感情はいうなれば生きるための自動スイッチ、感情の爆発です。
この「怒る」こと自体が、ダメなこと、悪いことのように思われがちですがそうではありません。
そのあとの行動が「殴る」「どなる」「暴れる」「睨みつける」など、相手に攻撃的に向かう場合、その行動が悪となります。
「叱る」は冷静な判断
一方、「叱る」ということは、目の前に起きている状態を冷静に判断し、注意しなければならないと感じたときにする行動です。
つまり、「怒る」のように自動スイッチではありません。
冷静に判断し、行動を選んですることが「叱る」です。
「怒る」と「叱る」が全く違うものであることがお分かりかと思います。
その違いを知ったうえで、冷静な自分を手に入れ、「叱る」を選ぶ自分になりたくはないですか。
そのためにはご自身を観察することをお勧めいたします。
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「怒る」と「叱る」で異なる体の反応
怒っている時と叱っている時、あなたの体の反応はまったく異なるものになっているはずです。
その違いについてみてみましょう。
「怒る」がおこす体の反応
最近「怒り」を感じた時のことを思い出してみてください。
体は震えていませんでしたか。
体温はどうでしょう。
手先足先が冷え、体温が体の上部に移動するのを感じませんでしたか。
また、頭部の血がどくどくと波打つのを感じたかもしれません。
これがまさに「頭に血が上っている」状態です。
口角が下がり、声は震え、低くなります。
もちろん人によりますが、一般的に「怒り」を感じている時の人間の体の反応です。
「叱る」のときの体の反応
では「叱る」時はどうでしょう。
何が起きているかを観察してはいませんか。
相手の表情やしぐさをじっと見ていませんか。
どう行動するのが効果的か、行動の後の「効果」予測がたてられている状態、これが「叱り」の状態です。
自分の感情には振り回されず、冷静に周囲を観察し、行動を選択しているのです。
「怒る」を「叱る」に変えるコツ
先ほどお話ししたとおり、「怒り」は感情の爆発、自動スイッチです。
「自動なら止められないじゃないか」、あなたはそう感じたかもしれません。
次に、「怒る」を「叱る」に変えるコツをお話しします。
「怒り」の持続時間は6秒
一般に、「怒り」の沸点の持続時間は6秒程度と言れています。
もしあなたが日ごろから「怒り」を感じやすいとしたら、6秒待つことをお勧めします。
「6秒怒らない」は難しいので、「6秒間は空(上でも窓の外でもいいです)を見る」とかほかの行動をすることに意識を向けてみましょう。
関連アンガーマネジメントとは?怒りをコントロールする「6秒ルール」
面白いことに人間の脳は「~しない」という行動命令は出せないようにできています。
たとえば「鼻をかかない」と意識すればするほど、意識は鼻の頭に向かいます。「髪の毛を触らない」なども同じです。
「手は膝の上に乗せる」などの命令をすると素直に体が言うことを聞いてくれます。
そうしているうちに6秒はあっという間に過ぎてしまい、ピークを過ぎてかなり冷静な自分を取り戻していることになるのです。
キーワードは「観察」
6秒たって、冷静な自分を取り戻したら、次は自分を「観察」してみましょう。
「やっぱり頭に来るなぁ」と感じたら、「頭にくるなぁと、感じているな」と自分自身を別の人が見ているように、客観的に受け取ってください。
体の反応はどうでしょう。
「観察」しているうちにさっきより「怒り」の感情が消えていることに気づいたら成功です。
「観察」を覚えると、自分の感情をキャッチしやすくなります。
人間は自身の感情を冷静にキャッチできると、次の行動を選べるようにできています。
怒鳴るか、冷静に目を見て話すかの行動の選択ができるはずです。
まとめ
「怒り」は人間が生きている以上必要な感情です。
そして非常に原始的、未熟でパワフルな感情です。
「怒る」ことそのものは悪ではありませんから、「怒り」を感じたこと自体を責める必要はありません。
しかし、私たちは感情をキャッチし、観察することができます。
観察すると「叱る」ことを選ぶことができるようにできています。
観察は意識して行っていくことで、自転車に乗るように、いつか自然に普通にできるようになります。
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